絵本のすゝめ「じごくのそうべえ」
今週のお題「読書の秋」
初めてこの「今週のお題」っていうのを使ってみました、文明の利器って素晴らしいなと思うこの頃のおばあです。
ぶっちゃけあんまり本って読まないんですよね。読んでみたら面白いとは思うんですが、その本を手に取るまでのハードルが高いというかなんというか。マンガならスラスラ読めるんですけども。
でも、そんなボクでも簡単に読めるものがあります。ズバリ絵本です。絵本…!
実はボク、保育士資格を持っているので、それなりに絵本については知識があったりします。絵本は子どものものと思っている方も多いと思いますが、大人が読んでも感じるものはあると思いますよ。
という訳でざっくりボクの好きな絵本について紹介していきたいと思います。
今回ご紹介する本はこちら!
「じごくのそうべぇ」
落語の「地獄八景亡者戯」を題材にした絵本で、タイトルの通り地獄が舞台となっており、地獄から抜け出す主人公たちの冒険が描かれています。題材が地獄ということで、子どもには怖いイメージなんですが、文体が関西弁ということもあり楽しく読むことのできる絵本です。
そうべえ地獄に落ちる
主人公である軽業師のそうべえは、綱渡りの際中に落っこちてしまい、死んでしまいます。ここで面白いのが死んだ時の断末魔で、「くう」という表現です。普通だったら分かりやすく「うわー」とかじゃないですか。でも、「くう」なんです。死を意識する間に死んでしまったという感じで、少し恐ろしいけどリアリティのある表現なんですよね。
地獄の道を彷徨っていると、そうべえは三人の仲間と出会います。歯ぬきしの「しかい」、医者の「ちくあん」、そしてやまぶしの「ふっかい」です。彼らと共に三途の川を渡り、閻魔様の元へと向かいます。
閻魔様は死者に地獄に行くか、極楽に行くかの判決を下すのですが、閻魔様も毎日毎日の仕事で疲れて、割と適当な理由でそうべえ達を地獄に落としてしまいます。どの世界も労働は大変なんだなって。
地獄がなんぼのもんじゃーい!
いよいよ地獄に落とされてしまったそうべえ達。最初は糞尿地獄です。ウ〇コですね、〇ンコ。子どもたちはウン〇大好きなので、このページは大喜びなんじゃないでしょうか。ボクも好きです、ウ〇コ。
どうやら最近は地獄も水洗式のトイレが主流になってきたらしく、糞尿があんまり無いようです。ハイテクだなオイ。そうべえ達曰く、自分家のトイレの方が汚いらしく、この地獄は罰にはなりませんでした。
お次は人呑鬼(じんどんき)がやってきます。読んで字のごとく、人を喰らう鬼ですね。ここで歯ぬきしの「しかい」が鬼の歯を全部引っこ抜いてしまい、歯抜けにしていしまいます。
丸呑みにされたそうべえ達ですが、医者の「ちくあん」の医学の知識で、鬼の腹の中で暴れまわって脱出します。人間と鬼の内臓構造ってたぶん一緒なんですね。
やまぶしは魔法使いだし、そうべえは超人だった
四人は熱湯の窯に放り込まれそうになりますが、やまぶしの「ふっかい」の術により、丁度良い湯加減のお風呂になります。四人はお風呂でいい気分になって鬼にせっけんと手拭いを要求する始末。鋼の精神っていうレベルじゃないぞ。
最後は針山地獄です。針で串刺しになってしまうかと思いきや、ここで主人公の魅せ所です。そう、主人公の「そうべえ」は軽業師、足の裏が板みたいになっているそうです。軽業師って凄いんやなぁ!!
恐ろしい地獄の罰を力を合わせて突破していくそうべえ達に、閻魔様は諦めて地獄から追い出します。地獄から追い出されたらどうなるか。なんとそうべえは生き返るのです。ええ話や…。
そして最後に、生き返ったそうべえと奥さんであろう人物がこう会話します。
奥さん「お医者さんを呼びに行ったら、お医者さんも風邪をこじらせて死んでて大変だったんやで」
そうべえ「その医者も今頃きっと生き返ってるわ」
少しにやっとしてしまう終わり方ですよね。この終わり方は、意味が分かった時にとても面白かったと覚えています。
子どもが読んでも、大人が読んでも面白い「じごくのそうべえ」
いかがでしたでしょうか、「じごくのそうべえ」。絵は多少おどろおどろしいですが、いざ開いて読んでみると、地獄の鬼たちは人間味があるし、そうべえ達は地獄に落ちたというのに妙に気が抜けているので、そんなに怖さを感じさせません。また、関西弁の文体が物語を更に面白くしてくれています。
子どもの感覚ではただただ恐ろしいモノである「地獄」も、この本を読めば少しだけ考え方が変わるのではないでしょうか。絵本を読むことで世界が広がり、また、世界の見方も変わっていきます。
お子さんがいる方は是非一緒に読んでください。読み聞かせをしてあげれば、子どもはとっても喜ぶと思います。大人が読んでも楽しめるお話となっているので、興味がある方は一度手に取ってみてはいかがでしょうか。